皆さんにとって、財団法人というのはどれくらい馴染みがあるでしょうか。
そのなかに、コミュニティ財団という分類があります。
コミュニティ財団というコンセプトは、1914年に米国の現在のオハイオ州クリーブランドで発足した「クリーブランド財団」の設立にさかのぼるといわれています。それから2014年でちょうど100周年を迎え、米国内には700以上の財団、世界で1700財団もあるといわれています。米国のコミュニティ財団の中には、単体の資産規模が数十億~数百億円の規模のものも珍しくなく、1千億円単位の規模のものもあります。
コミュニティ財団は地理的な「コミュニティ=地域」を特定して、複雑かつ重層的に絡み合う地域の諸課題を包括的な視座に立って事業対象とします。
また、予防的な対応を含む有効な事業に対して、資金をはじめとする資源を仲介・提供し、ひいてはその地域内の多様な背景をもつ住民の暮らしの質を高めるために貢献する組織、ともいえます。
事業内容としては、概ね寄付等の仲介を行い、特定の個人や法人等が設立する基金のほか、テーマを特定して複数の寄付者の資金を集める基金等を設置・運用し、資金提供者の意向を活かした資金を提供します。また、資金提供に付帯する形で、組織の基盤強化にむけた取組みとして、事業計画の策定、会計処理、ボランティア・マネージメント、チームビルディング等の支援を行っているケースもあります。
そして、資金提供に先立ち、地域の諸課題に対して取り組んでいる当事者等を集めて、課題やそれぞれの取組みの共有、或いは課題解決にむけた具体策の検討等を事業として行い、その解決策に資金的支援を組み合わせようとする動きもあります。
なお、今日において、非営利法人としてのNPO法人(特定非営利活動法人)の他、株式会社等の営利法人としての企業が地域への貢献や地域の課題解決に向けた取組みを行うものがあり、それを「社会的企業」と呼ぶことがあります。本来的な支援対象は、非営利組織に限定される向きもあるが、地域社会の抱える課題解決に向けて一定の要件の下、支援を行うこともあります。
日本においては、1991年に大阪コミュニティ財団が設立されたほか、2008年に行われた公益法人改革により、2009年に京都地域創造基金が設立され、その後、各地で設立が続いています。
<コミュニティ財団の定義>
ここでは米国の多くの財団が加盟する協議会組織でのコミュニティ財団の定義と、日本で最初のコミュニティ財団である「大阪コミュニティ財団」が発刊した書籍の言葉をそれぞれ引用します。